一年半

 

本当に久しぶりに

お金を払わないでセックスをした

 

世間一般だと

男の人が払うことが圧倒的に多いと思う

「女の人が性的なことのためにお金を払う」

という"新しい常識"の元で一年半過ごしていた

そんなわたしが

 

わたしみたいな女が

人のお金でホテルに入って

気持ちいいことをしてもらう

してもらったことへの

対価を要求されない

 

夢みたいだと思った

今振り返っても現実感がまるでない

 

終わってから

どうしようもなく眠くなって

意識を手放してしまったのははじめて

 

翌日 意味がわからないくらいの筋肉痛に

襲われたのも

いつぶりかわからない

 

純粋に 楽しめていた

本当に 楽しかった

 

いつも

払った額に見合ったものを取り返そうと

必死だった

自分の中に湧いてしまう

「こんなものにお金を払うのか」

という気持ちを押し殺して 割り切ろうとして

 

湧いてくることを止めるなんて

できっこないのに

 

自分は無駄なことをしているかもしれないと

気づきたくなかった

こんなことをしていても何も得られないと

認めたくなかった

全部が見えていながら

何も得られないとわかっていながら

手を伸ばし続けていた

 

いつから

わたしの「好き」は「執着」に

変わってしまったんだろう